「その1」「その2」はこちら
今となっては、どこの大学を卒業するだのは、ほとんどどうでもいいことに思えているが、2月、3月になると、少しだけ寂しい気持ちにもなる。
大学受験だけでなく、中学、高校受験の傷を引きずっていらっしゃる方々もいまだ多くいらっしゃるが、気にしても仕方がない。
大事なのは、いつなのか?今でしょ!
受験生、頑張れ。
さて、あてのないまま高校を卒業したぼくが選んだ道は、通信制大学入学というものだった。
通信制大学時代ーレールから外れた日々ー
なぜ、通信制大学を選んだか。理由は、受験が必要ないからだ。
母に勧められ、初めてそういう大学があることに気付いたのだが、ほとんど大学に通わない通信制大学でじっくりと病を治し、法科大学院へ進もうと思った。
だが、問題もあった。通信制大学というと何だか本当の大学じゃない、恥ずかしい、というレッテルを自分自身で勝手に貼ってしまい、高校までの友だちとの付き合いに億劫になってしまったことだ。高校の友だちが大学生活を楽しんでいるのに、自分はキャンパスライフも何もなく、家とバイト先(BOOKOFF)を往復する日々だったのも、後ろめたかった。まさにレールから外れた存在だった。
そうして、だんだんと自分の心と家にこもるようになり、外出することが少なくなった。それが、パニック障害をさらに悪化させることになってしまった。
電車に乗れない、外食できない、映画館で座っていられない、友だちと遊ぶ時も常に吐き気が襲う。20歳になったのに、病とともにさらにレールから外れ始めた。
そんな折、通信制大学から正規大学への編入試験があることを知った。
「大学でしっかり勉強したい」「キャンパスライフを楽しみたい」と思い、一念発起、受験を志した。
もともと編入試験は合格率が低かったので、どうせ合格しないだろうと気楽に(しかし病のせいで吐き気などは収まらない)受けたところ、なぜか合格した。
友だち皆無の大学生活
こうしてぼくは、20歳にして大学編入を果たした。編入ということで2年生からスタートしたため、友だちが作りづらかった。編入同期、先輩の集まりがあったが、馬が合わず避けてしまった。いま振り返ると、悪いことをしてしまった。編入試験に合格するのは難しいので、編入同期、先輩と連帯し、後輩たちのために何かしてあげればよかった。
ぼくは、大学まで2時間かかるところに住んでいたので、そういった集まりやサークル、部活には参加できなかった。寮に入りたかったが、金銭的に不可。学費を貯めるためにバイトもしなければならなかった。
アメフト部に誘われていて入ろうと思っていたが、上記の理由であきらめた。もしここで部活に入っていたら、また何か変わっていたのだろう。
ここまで恨みがましく書いたが、大学生活初期は希望に燃えていた。見るものすべてが新しく、桜は咲き誇り、勉強への意欲も高かった。電車の中で吐き気が起こるパニック障害も、通学に慣れることで徐々に収まってきた。ただ、他人との外食はきつかったので、お弁当を持ってきて、ひっそりと食べていた。
そう、ぼくは大学生活3年間、いわゆるぼっちだった。
友だちがいなくても全く平気だったが、サークルに入ったり、旅行をしたりというのは皆無だった。ただ大学に行き、授業に出て、飯を食い、速攻で帰り、バイトに行く。それをひたすら繰り返した。
しかし、そういう生活は長く続かない。あんなに憧れた大学生活なのに、だんだん行くのが嫌になり、授業もさぼり始める。気持ちも暗くなり、「将来病気は治るのか」「まっとうな社会人になれるのか」「ぼくって生きてる意味あるのか」などを考え、授業には出ず、図書館や大学周辺の池のベンチで、ずっと古今東西の文学、哲学を読み、答えを探していた。しかし、答えはなかった。
就活大失敗
そして時は流れ、就職活動の時期がやってきた。
ぼくは大学院にいくつもりだったので、就職活動はせず、勉強に集中することにした。しかし、パニック障害、過敏性腸症候群はまったく治っていなかった。
悩みに悩んだ挙句、「このままでは大学受験の二の舞になる」と考え、大学院はあきらめ、就職活動に方針転換する。人よりも遅れたスタートだった。
就職活動では、いわゆる難関企業の二次面接あたりまでたどり着くのは容易だった。だが、司法試験をあきらめ仕方なく就職活動を始めたぼくには、明確な志望動機がなかった。
そして、全滅した。
人より遅れたスタートだったのでエントリーした企業も少なく、悔いの残る就職活動だった。わがままな話だが、このまま適当な会社に就職するのはどうしても嫌だったので、一念休学して、もう一度就職活動をしようと決意した。ちなみにこの時期は、今のように売り手市場ではなく、厳しい状況だった。
2012年9月から2013年9月までの休学(23歳から24歳)。この時期から、少しづつ運命の歯車が逆回転し始めた。
もうちょっと続きます。すみません。